72dpiの画像は低画質なのか

今回は解像度のお話を。
私は元々DTPデザインからスタートしているので解像度と聞くと「dpi(ppi)」という単位の数値を思い浮かべるのでその話をします。
DTPを勉強しているときは「Web用途なら72または96dpi、DTP用途ならは350dpi、これだけ覚えとけばいい」と習います。
それでフォトショップを使って72dpiの画像を350dpiに変更する手順を勉強したりします。
当然、紙の種類で必要なスクリーン線数が変わるので必ず350dpiにしなければということではありませんが、それはさておき。

この時に「必要以上に高い解像度のデータを用意してもいいが重くなるのでやめましょう」という話を聞きます。
当時はよく考えもせず、ふーんと思っていましたが、しばらくしてふと気づきました。
「コンピュータの中ではdpiの値って意味なくない?コンピュータ内で大きさの概念はピクセル数でしか議論できないはずだ」と。
だから72dpi画像のファイルサイズが小さくて350dpi画像のファイルサイズが大きくなるという考えは、間違っているのではないかと。

コンピュータサイエンスを習った人なら、入力装置とか出力装置が何なのか知っていると思います。
出力装置とはプリンタとかモニタのことです。
コンピュータの中の情報は人間には認識できないから、モニタやプリンタに出力することでようやく人間が認識できます。
画像データは出力機器に表示するときに初めて「長さ」という概念が登場します(モニタはちょっと事情が違うので後述)。

つまりコンピュータの中では画像データに「長さ」の概念はありません。ピクセル数がいくつなのかだけが指定されています。
なので当然dpiの値もコンピュータの中では意味がありません。
コンピュータの中の人はピクセルの個数は理解できるが、cmとかinchが理解できないということです。

ただし近年の画像データ形式はそれ自身がどういうデータなのかという基本情報を内部に保持する仕様になっています。
RGBなのかCMYKなのか、カラープロファイルは何か。そしてdpiがいくつなのかも記述しないといけません。
コンピュータにとってはdpiは理解できないので意味がないのですが、人間様には「長さ」が超重要な情報なので何かdpi値を指定しないといけません。
だから10dpiでも1000dpiでもいいので何か指定しておきます。

その数値がプリンタに出力するときに機能してその大きさで表示するわけです。
試しに縦横が1024pxの正方形画像を作って、一方を72dpiに、一方を350dpiにしてください。
それらをイラレのA4アートボード上にレイアウトしてみましょう。
同じピクセル数なのに350dpiの方が小さいですよね?
さてリンクした画像のファイルサイズはどうでしょうか。全く同じサイズではないでしょうか。
そりゃそうですよね、コンピュータにしてみればこの二つの「大きさ(ピクセル数)」は全く等価なのですから。

つまりこういうことです
「DTP用途の解像度は350dpiにしましょう。Web用途は72dpiでもいいんですが、1000000dpiでも全く問題ありません。というかなんでもいいです」。
(もちろん72dpiだがDTPで問題ない場合も多々あります!特に最近は。)

以前とんでもない会話を聞いたことがあります。

ニコンのカメラで撮影すると300dpiで高画質なんだけどさー、キャノンだと72dpiだからちょっとねー

おいおい。編集の仕事をしている人の会話でしたが、このような人はいっぱいいるのだろうか…
DTPの現場を多少知っている人は「この画像72dpiじゃないか、どうすんだ」みたいは会話を耳にするからでしょうか、恐ろしいことです。

さて、モニタですがこれもれっきとした出力機器ですがプリンタと違って長さが理解できません。
なので1024px@72dpiの画像と1024px@350dpiの画像は全く等価に表示します(レイアウトソフト上での表示は当然dpi値が考慮されるが)。
つまりブラウザでの画像表示はどちらでも同じなので、Webデザイナーはdpiに詳しくなくても問題ありません。

こちらカメラマンのブログのようですが、非常に参考になりますよ。
画像サイズ「WEBにおける解像度が不要な理由」
http://www.capricious.info/log/2013/04/07/pixcel/

(追伸)
最近はRetinaディスプレイのようなものが出てきてWebデザイナーもdpiに精通していないといけないような雰囲気がしていますが、HTMLやCSSでdpiは指定できません。
指定できるのはpx値だけです。
なのでRetinaの場合は単にpx値が二倍のデータを用意すればいいだけ。dpiの値は任意でOKです。
Webデザイナーの方はひたすらピクセル数だけ注意していればいいでしょう。

と思ったら最近はめんどくさいことになって来ているようです。さすがにこれはちょっと理解できませんでした。W3Cどうすんの。
http://parashuto.com/rriver/development/pixel-related-info-for-coping-with-retina-displays